ベる ii

オーガナイズがウダウダだったライブの穴埋めをする為に、
主催者がライブ後に急遽、その日にもう1スロット、別の箱でブッキングしてきた。

 

インプロでライブを1日2回やると大概こけるから断ったが、
あれよあれよと話が進み、oplでのライブが終わると
機材がスタッフの手によってズンズン運ばれていった。

 

移動のときに、鍵盤のアダプタ-とミキサーが別のとこに行ったらしく、
予想通り、ライブはマッタリした。

 

直前にライブだったセドリックに借りたミキサーでルーティングに手間取り、
あやまって出力されたハウリングに観客がワーってなったので
ええいままよ、とそのままフィードバック音でライブをする。

終わったあと、フランス人に『耳いたいわ』と文句を言われた。
なにはともあれ、ひどい出来。

 

一回目のライブは、とてもよい出来だったので
思い出に浸る。

 

酔っぱらったDJが、
『おい!おれの前で煙草を巻くな!おれのをやる!おれのんを吸ってくらさい!』
とマルボロをくれる。ビールをダばダばこぼしながら。

 

とてもシヤワセに寂しそうだった。

 

もうフィルターの手前まできてるマルボロを、
渡されるがままにくわえながら思った。

 

この世でもっとも他人にシヤワセを与えられるのは布団職人だ。

 

そういえばいろんなことがくやしくて、
だんだんまわりにある色がわからなくなっていった。
全てがとりあえずといった体(てい)で、黄色やグレイだった。

 

搬出で外に出ると、北ヨーロッパの朝はもう冬だった。
ひんやり我にかえって、見上げると青かった。

 

/ brussels , belgium