ベる i
『3年一緒に暮らした女が、きのう出て行ったんだ。 、、わかるだろ?』
が理由で、迎えに来るはずのオーガナイザーが来なかった。
連絡待ってるあいだ、やることなさすぎて、アトリエの前に持ち出した膨大な機材を眺めていた。
待ちすぎて最後は、ひとりじゃんけんをはじめた。
向こうでカズさんが、あらぬ方向を眺めて泥水みたいなコーヒーを飲んでいた。
23時間後 3回の予定変更電話のすえ、結局共演するラファエル本人が迎えにくる。
『ほんとうにすまない。会ったことないんだが、あいつは少しアレみたいだ』
金持ちで甘やかされてドラッグに溺れている、という
字面にするとなんともまったりした男らしい。
ところで、日ごろ車に乗ってなさそうなラファエルの運転は、
愛想笑いが止まらないほど危うかった。
『こう見えてもオレは、生まれて一度も事故したことないんだ。 心配ない。』
生まれて始めての事故が起こったのは、それから3時間後のことだった。
アウトバーンで路肩のレールに乗り上げて、車が飛んだ。
ほんとうに飛んだ。
「ラファエルの前の彼女が今、つきあってる男の車」であることが
さらなる衝撃と波紋をよぶ。
なんだその底ぬけに気まずいシチュエーションは。
衝撃のわりには被害はなかった(人にも車にも。なんで?)けど、
にべもなくラファはへこむ。
生粋のブリュッセル人でも迷うブリュッセル市内で
型どおりさんざ迷った挙げ句、到着。
最後は夜食のピザを買いに来ていたおっさんに、
自転車で車を先導してもらう。メルシーおじさん。
真夜中なので、機材搬入+セッティングは明日に。
今回泊まらせてもらうベノアの所は、
個展やDJイベントもやるという意味不明な広さを誇る。
400平米 + 広大なバルコニー。
端から端まで走ったら、ちゃんと疲れる。
寝返りうちほうだいや。
ひゃっほぅ。
/ brussels , belgium
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