キリンヅカ
キリンをいれとく小屋がなくなったので、
向こうのボーリング場がよく見えた。
メリーゴーラウンドだけが何故か撤去されず残されていて、
でも馬んとこだけなかった。
だらけたやり場のない安心だけが、
カラフルなビニールシートの水たまりの中に溜まってた。
もう300年くらい前から
ここでなんべんも同じあやまちを繰り返している気になった。
そう思うとものすごく気持ちが楽になって、
でも楽になる事を知っててわざとそういう事を考えてる気がして
胸が重たくなる。
『傷つかない人生なんて死んだほうがましよ』
大好きなヒトがそう言ってたので、
すこしメリーゴーラウンドの馬のことを考えた。
とっちらかったまろやかな問題。
悩み、ない。
解決、というオトシドコロに核心がないように。
あるのは問題だけやった。
横で寝ている犬が、尻をこちらに向けて屁をこいた。
ぷぴぃ ゆうような音がした。
犬の とがった耳をつまみ上げると、ため息みたいなのをついた。
夜中なのに鳥が鳴いていて、
犬は半目を開いたまま、夢をみているように見えた。
もう とうに終わっとんのに、
だだこねすぎて変な顔の銅像がたちそうだ。
date_undefined 2004
undefined city, japan