not a study so_n(d)s

スタジオの帰り道

 

煙草を買いに雪の中キオスクに行くと、
色とりどりのグミキャンディの前、たむろするガキの群れ。

 

『おぃ、若いの。』

 

不意に声をかけられ、
面倒くさすぎて屁みたいになった声で
「ん?」と応じると

 

『もうすぐ、ほら、知ってるだろ。これ買ってくれよ。』

 

、、なんで通りすがりの知らねえガキに、
なにやら微笑ましいことしなきゃならないんだ。
しかもおまえ、チビのくせに俺を ” 若いの ” とか呼ぶんじゃねぇ。

 

 

「ちっ、どれ欲しいんだよ。めんどくせぇな。」

 

『おまえはどれがいいと思う?』

 

「なんでおれが選ぶんだよ。この黒いのでいいか?」

 

『、、センスねぇな、じゃあ僕この緑ね、おばちゃん。お金はこの人が払うから。』

 

「おまえ、まじか。」

 

 

カウンター越しに、おばちゃんはアカラサマにこちらの目を見て手を出した。

 

不意打ちにあったサンタ役への敬意というより、
うんこ踏んだことに気づいてない男を無言でスルーする感じで。

 

 

『サンタはさ、おれの母ちゃんなんだってよ。おまえ知ってた?』

 

「おまえバカだな、ジョークだよ、ジョーク。おるて、サンタ。」

 

『え!あなたサンタ?』

 

「やっぱおまえバカだな。」

 

 

キオスクを出ると、唐突に雪がやんでいた。

 

世界が終わると言われていたその日、
アルバムが完成した。