臆病で陰鬱なdj 500人による概要

051104lf.jpg

茶色のコートを着た長身の女の子が うずくまった。

 

歩きながら煙草巻くのに気ぃとられてたので、
元気満タンでウマ跳び失敗する小学生よろしく
つんのめり覆いかぶさって、スッコロびかける。

 

「大丈夫?」

 

おおよそ大丈夫じゃない人間に
“あなた大丈夫じゃないよね” を言い渡す殺人フレーズで、ご機嫌をうかがってみる。

 

知り得ぬナニかのことを考えるのは、きっと大切なことだけれど
だからって

 

「がんばろうよ! 世界はほら! こんなに美しい!
おもしろき!こともなき世をおもしろく! シンサク=タカスギ! さあ!」

 

とか幸(さち)薄そうなモヤしっ子にいきなり励まされたら、それはそれでイライラする。

 

返事がない。

 

「なんか、あれ。 あれ呼ぼか?(救急車、ドイツ語でなんて言うんか思いつかんかった)」

 

『ううん、いいの。』

 

こっちを見た彼女の顔に、違和感。

 

なんか泣いてるみたいだった。

 

ぅぇ、しまった。思って煙草を巻き終わる。

 

「煙草吸う?」

 

『いいわ。ありがと。大丈夫』

 

大丈夫って言わなきゃいけない人生なんて、ごめんだ。

煙草の灰は、知らぬまに煙草の長さになっていて
地面に落ちる前にクツのサキにあたって、くだけた。

 

馬鹿みたく足を踏み鳴らして歩いてたので、
低くナガれる初冬の風と相まって
影にもならなかった。