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ある日 小鳥が音痴だった。
“黒人はみんな、ラップとダンスが上手い”
コトバが沁み込んだ脳みそはいちいち慌てる。
あまりにも音はずすので、maraにもらったトリ笛でリズムをとってやってみる。
そしたら突然ダニーハザウェイばりのウッとりラインで絡んできた。
ぅぉ
特徴なんて、自分のいる世界ではちっとも役に立たない。
音痴な鳥がモテるために鳴くオス鳥なんていない。
だからきっとこの音痴な小鳥はモテない。
あいかわらず調子良くからんでくる調子っぱずれた鳥の非凡なさえずりに聞き惚れながら
『見渡す』ことについて考えた。
この鬱陶しいくらい狭い視界のソトで生きてく、意味も謂れもない。
置きっぱで笑うことに咎がないように。
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朝の日差しのなか、平野で渡り鳥がタムロした。
首の長い集団だったので、逆光によるシルエットは耳のながいうさぎの群れが如く。
ここのとこ急に寒くなったから、渡る段取りとか練ってるんだろうか。
頭数いるからスケジュール調整とかめんどそうだ。
『アサッテくらい子供産まれんだよね』
『なぁあのルートやめねえ?いっつも撃たれてんじゃん。で超死んでんの。ぜってぇ馬鹿だと思われてるようちら。』
『 鎖骨いたい 来週がいい 』
『ヒナどっか落としてん。知らん?』
『おれ今年、先頭ヤだ。』
『おれもシンガリやだ。みんなはえーよ。おまえあれだよ。信号とか無視すんなよ。』
リーダーやりたくない。
静かに地平線をつつく渡り鳥たちを眺めて
『ここやないどっか』なんてないことを知る彼らに嫉妬。