saturated sun

050326_foc.jpg

 

イースターの中休み、土曜日。

突如すみよい晴れ空。

 

徹底した冬の闇は唐突に終わって、

街には、冬眠あけの人々があふれる。

 

オープンカフェがそこら中せりだして、

通りがやたら歩きにくい季節の到来。

 

この街、こんなにヒトいたっけ。

きみら今までどこおったんや。

 

天気がよすぎて自転車で洗濯へ。

「なにもしない時間」に、無条件に名前を与えてくれる楽園。

コインランドリー最高。住みたい。

 

洗濯が終わって、季節の変わりめ恒例『勝手に迷子』をやる。

知ってる街、いつもの街で無理矢理迷子になってみる。

 

ミギ、ミギ、ヒダリ、ミギ、、、あ、でもやっぱりヒダリ。

とか繰り返すと、結構あっけなく、泣きそうなくらい迷子になれる。

 

古いピアノが置いてあるカフェや、

外観だけはヤケにうまそうなイタリア料理屋、

自分がどこにいるのかわからないので、

または来れないけれど。

 

『お、サトシじゃねーか。』

 

!!

振り向いた先に、見覚えのない男。

あかん、ほんまにわからん。

 

探るのも面倒なので、当てずっぽうを決め込む。

「やあ、フランツ。」

『ボルツだ。ところでおまえ、こんなとこで何しとん?』

 

、、難しい。

 

こう、投げては返すライトなキャッチボールをするには、

今日の行動はあまりに動機に乏しく、でたらめすぎる。

 

“i just want to be a man who lost his way.” なんて言ったら、

“なにこいつ?悩み事?”みたいな感じになりそうでややこしいので、

太陽にかまけて、いい加減なウソをつく。

 

「うん、トモダチに用事。」

 

別れ際、思いっきり方向わかってない感じも辻褄が合わないので、

男の行く方向と被らないように慎重に方角を決めると、

より未来の見えない迷子になった。

 

古い教会の前でサンドイッチを買って、

公園で、テンション高いのか低いのかよくわからない子供達の狂宴を眺めながら

まあ別に帰れなくてもいいか、て気になってくる。

 

恣意的な迷子は、いつでも必ず最後にそういう気持ちになって、

そういう気持ちになった途端、待ってたかのように帰り道がひらける。

 

“帰れる”ことにすこし寂しくなるのは、きっと甘えだ。

 

ここにいることを、ここじゃないどこかからわかろうとするのは、

とても愚かなことだ。

 

まいっか。晴れてるし。