ポッちノ

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サヴトレのサーバーに流れてくる検索文字列に、

『 ネアンデルタール人 / 血液型 』ゆうのがあった。

 

ネアンデルタール人の生態・遺伝学に関する深淵な考察も

進化論と創造論についての熱い持論もないけど、

過去ログが検索サイトでヒットします。

 

ここ

 

知りたいのはそんなことじゃねぇ!

知るか!お前のことなんか!

勉強の邪魔してごめんなさい。

 

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電車で前に座った白人カップルが

ドイツ、デュッセルドルフの悪口を言ってた。

観光客なのか、英語でまくしたててた。

 

『ひどいわ、ここは。』

 

激しく同意して、観光客の会話にオープンマイク参戦しようかと思ったけど、

 

『あたしここ、好きじゃない。』

 

女の子の方がそう言って、ちょっと違和感を感じた。

ん?

あれ?

 

つっけんどんで、クソ真面目なくせにやたら休暇ばっかとって

わがままで他人に全く興味がないくせに、やたら自分をよく見せようとする人々。

 

昼が長い時期以外は、地中の虫みたいにテンション低い四季。

金持ちとビジネスが乱舞し、日焼けサロンでテラテラ赤光りするおっさんが闊歩する町。

時にありえないほど冷血で、ささやか極まりない人間同士の距離の取り方。

 

あれ?

 

好きやないけど、嫌いなんやろうか。

嫌い、ちがうぞ。

はたと考え込む。

 

ヒトリでは生きていかれへん。それはまあいいけど、でも

ヒトリを知り、

なにかド深い暗闇とポッチリ、親密になって目を開きかけたとき

孤独じゃなくなる。

孤独になれなくなる。

 

ゲーテは かつて、エッカートにだべった。

 

『人がオノレに与えることのできる唯一の、そして最も驚くべき知識って

他人は、自分のことになんか興味なぞないんやっていう確信やで。』

 

勝手にそういうことを教えられた気もするから、

ちょっとこの町に借りがあるかもしれない。

 

ありがとう

 

思った瞬間、またケバブ屋のおっさんに『あ?』て態度悪く聞き返された。

 

「サラダ全部!肉はラム!辛いやつナシ!」て態度悪く言い返すと

そんなツンツンすんなよ、いう顔をされた。

 

おまえもな。

 

ちょっと肉を多めに入れてくれてた。

 

 

なんなんこの町

 

足音を響かせて、石畳を歩く。

口笛。

クチビル凍りそう。やめ。