ネスト トラックス

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ドイツで寝起きするようになってから、活字中毒がひどくなって

最近は収拾つかなくなった膨大な本を、ボンボン捨てるようになった。

 

日本書籍の古本屋に売りに行ったら、キン肉マン1冊買えぬ値で叩かれたので、

めんどくさくなって、通りのゴミバコに袋ごとほりコむようになった。

 

『自分にとって一番大切な本を、公園のベンチに置き忘れるんだよ。』

 

ベルリンに住んでいる、映像作家の友達が言った。

 

『でもね、僕はケチだから、せめて誰がその本を拾うか見届けたくなっちゃうんだよね。』

 

だめだよなあ、それじゃ

と、彼は歯痒そうにこぼした。

 

今日スタジオからの帰り、

電車の中で向かいのおっさんが鞄の中からおもむろに本を取り出した。

 

胸ポケットからペンを出して、読みながらなにか熱心に書き込んでいた。

本を読みながら線を引く。

 

そのヒトが、2度とそれを読み返さなさそうなヒトであればあるほど、好い。

他人に借りた本に線とかひいてあるの、とてもいい。

 

借りた本の中、『円い窓』という単語に線がひいてあった。

深読みしすぎ。行間よみすぎ。しかも線があることによって、説明くさすぎ。

 

でも

 

印をつけたい、と駄々こねる感じがいかんともよい。

だって忘れそうやんこれ、と矛盾した動機も、よい。

 

自分が前に読んだ本を読み返してみると、

線を消しゴムで消した跡がいっぱい。

ちょっとページがシワってなってる。

そのイサギわるさがいや。

 

大事な本はシワシワすぎて、ベンチに置くの躊躇われる。

なんかカスつまって、ページ開いたまんまやし。

 

そのまま捨てられる。これ絶対。

 

昆虫とかに巣の素材にされる。

 

、、それよいな。