サモトア
ジャイアント馬場くらいあるモミの樹が捨ててあった。
横倒しになってることと 路地脇であること、
中途半端に巻かれた見窄らしいビニールがなければ、
それが捨てられているのだとは、気づけなかった。
横には おっさんが寝てた。
息が氷粒になる この寒空の下。
ナイスガッツ。
モミの樹と おっさんと
写真を撮って年賀状にしよか思ったけど、
年始から景気良くテンションさがりそうなので、よした。
夜が明けて おっさんはいなかった。
かわりに 雪だるまが置いてあった。
雪の玉、3段。
昆虫?
雪だるまは
2004年をもっかい始めからやりなおしたくなるくらい、情けない顔をしていた。
今くるよ が突っこまれた時の顔にそっくりやった。
制作者らしき そのちいさな彫刻家は、
プラスチックの黄色いシャベルの、柄のグリップ具合が
気になって仕方ないらしく、それどころやなかった。
ちょ、、 せめて眉尻もうちょい上げてくれへんかな、、。
顔につられて、果てしなく下がったモチベーションに
鼻も凍る師走の曇り空が共鳴。
スタジオで轟音ミックス中、ウトウトすると夢を見た。
雪だるまの頭が、微妙にずれる夢だった。
はっと目覚めると、やな汗べったりかいていた。
なにに緊張したんや。
晩、家に戻るとおっさんはおらんかったけど
モミの樹はまだあった。
もしかしておっさんは、モミの樹の妖精だったのか。
8回殴られたロバートワイアットみたいな顔しとったけど。
ビールの空き瓶、もっそ置いてあったけど。
ワがを言いくるめて明日は大晦日。
ハピネスフォーハッピーエンド。