フユウち
「ドイツで、しかも真冬なのに、ずんずん散歩するタフさ」に憧れて
夜明けまでそこいらを歩き回っていると、鼻血が止まらなくなった。
リラックスしすぎ。
電話で何時間も錯乱した男の相手をすると、変な匂いのする郷愁。
だからって散歩に理由をつけるのは、きっと愚かなことだ。
朝っぱらからやってるカフェに入って、
いちびって慣れない品種のエスプレッソを頼む。
型どおりにえずく。
気持ち悪くてげっそりしていると、
店でかかっていたJBの音に合わせて、
朝っぱらなのに少女が踊る。
挙動不審な日本人をちら見して。
彼女は今日も世界中をその小さな手のひらに収める。
『ママ!』
彼女の視線の先にいた優雅な女性は、
やっぱりエスプレッソのカップ。
エスプレッソの苦い煙と
鼻血の冷たい匂いは似てる。
「これでいいのよ」っていう真摯な切実さが。
ぁぁ、どうでもいいけど はなぢがとまらない。
ホラーや、ホラー。
少女の腰つきは悩ましく、
絵づらを総括すると、わしゃただの変態や。