ディーる
アトリエへの道すがら、いつも会う悪ガキグループ。
悪いんかどうか知らんけど。
クリみたいな頭したのと、デブと、ほんのり動きのはやいデブ。
トリオとしては ほどよくバランス悪い。
捨てられていたPCとステレオセットに目をつけて、
アトリエに荷物を置いて戻ってみると、
いびつな3人組が試行錯誤しながら それらを運んでいた。
ちっ、やられた、思て舌打ちしたものの、彼らはあまりにも要領が悪く、
見てられないので、彼らのアジトまで運ぶの手伝ってやる。
玄関の前まで、全て運び終わると、クリ頭が言った。
『ねえ』
ん?
『これ、5ユーロで買わないか? 負けとくよ。』
、、、、てめえ。
『ちゃんと動くぜ。コンセントんとこ買えばさ。』
、、、、知らんやろ、おまえそんなこと。
『オレタチだって、惜しいのに、おまえに譲るんだ』
どうやら、玄関から部屋まで持ってあがるのが、めんどくさくなったらしい。
デブたちもしきりに、「いかにこのPCが人生をバラ色にするか」を力説。
クリ頭は、腕を組み しきりにうなづきながら、満足げに言い放つ。
『3ユーロでもいいぜ。』
目を輝かせる。
3人の鼻の穴がふくらむ。
「いらん。」
それ以来、会うたびに 『まだあるぜ』 って言われる。
てかお前、置きっぱなしやないか、そこに。
犬が 道ばたのPCの匂いを嗅いで、くしゃみをする。
3人は、にべもなくサッカーに執心。